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ジュエリー選びに役立つ貴金属の知識
「貴金属」という言葉はよく耳にしますが、どんなものかきちんと説明できるという方は少ないでしょう。ここではそれぞれの金属にどんな特徴があるのか、またジュエリーを選ぶ際に知っておきたい刻印についても詳しく解説していきます。
貴重で価値の高い8つの金属のこと
時間が経過しても変化することなく、美しい輝きを放つ、金・プラチナ・シルバー・バラジウム・ロジウム・イジリウム・ルテニウム・オオミウムの8元素を貴金属と呼びます。希少価値が高く、世界に共通してその価値が認められているもの。その中でも金や銀は、昔から権力や財力の象徴として、貨幣や装飾品、宗教の祭祀品などに使われてきました。
金色の重い金属です。1tの金鉱石からとれる金は3~5gとごく僅かな量です。金は非常に有用な性質を多くもち、精錬の必要がなく金そのままで自然界に存在しているため、銅に次いで古くから利用され、早くから人類が利用していた金属です。金の変わらない美しさは、人間を悪魔から護るとされ、頭・喉・手首など大切な部分につけられていたそう。紀元前3000年頃にはメソポタミアでは金の兜が造られていました。また、不変の美しさを持っていることから、不老不死との関連を研究され、さらに希少性が高いことから通貨としても利用されてきました。
種類 |
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イエローゴールド | 金75%、銀15%、銅10%の割合で構成され、黄色味が強い |
グリーンゴールド | 金75%、銀25%の割合で配合されており、緑味を帯びている |
ピンクゴールド(ローズゴールド) | 金75%、銀7.5%、銅17.5%の割合で構成され、ピンクの色味が強い |
レッドゴールド | 金75%、銅25%で構成され、赤い輝きを放つ |
ホワイトゴールド | 金75%にパラジウムなどの白い色の金属を25%混ぜているため、プラチナに似た色味 |
ブラックゴールド | 18金ホワイトゴールドにプラチナを混ぜたり、ホワイトゴールドにメッキをして黒っぽく見せたもの |
K9~K24 | 金の純度による分類。数字が大きいほど、金の配合が多い |
銀色の金属。人類は紀元前3000年頃から銀を利用していました。銀の用途としては、貨幣としての利用が最も重要なものでした。実は古代において銀の価値は金よりも高いとされていましたが、銀の精製技術が発達して銀鉱山からの生産が増加するに従い、銀の価値は金と比べて低いものになりました。とはいえ、銀はほとんどの文化圏、地域で高い価値があったため、金とともに貨幣として用いられていました。また、銀はその白く美しい輝きから宝飾品としても人気があります。比較的産出量が多く、貴金属のなかでは安価であるため、日本では特にカジュアルアクセサリーとして流通しています。
種類 |
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SV900 | 銀が90%配合された金属。コインシルバーとも呼ばれる |
SV925 | 銀が92.5%配合された金属。スターリングとも呼ばれる |
SV950 | 銀が95%配合された金属。ブルタニア、五分落ちとも呼ばれる |
SV1000 | 銀が99.8%配合された金属。純銀やピュアシルバーとも呼ばれる |
プラチナは銀白色の非常に重い金属です。鉱石には6種類のプラチナ族元素が含まれており1tのなかに含まれるプラチナは約3gです。プラチナが発見されたのは紀元前1500年代の古代エジプト。紀元前700年頃の化粧入れの象嵌の中に埋め込まれたものが現存しています。ヨーロッパでは、「重くて火にも溶けない白い金」といわれ、「white gold」とも呼ばれていました。日本名でいう白金は「white gold」の和訳。しかし、金の一種であるホワイトゴールドとプラチナは別の金属なので注意が必要です。
種類 |
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Pt850 | 純度85%のプラチナ。社団法人日本ジュエリー協会がプラチナの最低ラインとしているのがこのPt850 |
Pt900 | 純度90%のプラチナ。日本のプラチナ製品で使用されることが多い |
Pt950 | 純度95%のプラチナ。残り5%にはパラジウムやテニウム、イリジウムなどが使われる |
Pt999 | 純度99.99%の最も純度の高いプラチナ。以前はPt1000という表記もあったが、現在100%のプラチナは存在しない |
柔らかい銀白色の金属。白金属元素の1つで、耐食性に優れています。単体の素材としてはもちろん、プラチナやゴールドの割り金としても使われています。1803年にイギリスの科学者・物理学者のウイリアム・ウォラストンが発見しました。パラジウムという名称は、当時発見された「小惑星パラス」に由来しています。プラチナと同じ輝きを持っており希少価値が高いですが、プラチナよりも価格が手頃なのが特徴です。また重量も軽いため、着け心地が良いところも魅力的。鍛造されたものは硬度が高く傷みにくいため、ジュエリーとしては扱いやすいでしょう。
ロジウムは白色の光沢が美しい金属です。耐食性や耐摩耗性に優れており、変色しにくいため、昔から装身具などのメッキ素材として使用されてきました。メインの素材ではなく、メッキ加工に使われることの多い金属です。発見したのはイギリスの物理学者であるウィリアム・ウォラストン。プラチナ鉱石から発見されました。現在でもロジウムは白銀鉱石から採取することができ、南アフリカやロシアが主な原産地となっています。ロジウムがつくる塩の水溶液の色がバラ色なことから、ギリシャ語でバラ色という意味を持つ”rhodeos”から名付けられました。
ルテニウムはプラチナなどのメッキ加工に使用される金属です。プラチナの仲間でとても硬く、粉末になりやすいという性質を持っています。さらに腐食しにくいという特徴もあり、希少価値の高い金属です。メッキ加工されているアクセサリーは、色が剥がれやすいと思われがちですが、ルテニウムはメッキが剥がれにくく、使い込むごとに味が出てきます。もし剥がれてしまった場合でも、新品と同じように加工し直すことができます。またプラチナにルテニウムを混ぜて加工したアクセサリーは、ニッケルやパラジウムよりもアレルギーが起こりにくいと言われています。
青みがかった銀色の光沢が美しい金属。オスミウムは最も重い元素だといえます。1804年にイギリスのスミソン・テナントという科学者が発見しました。スミソン・テナントは、ダイヤモンドが炭素でできているということを証明した科学者です。オスミウムは、空気中の酸素と反応すると、悪臭を発生させるという特徴があり、元素名はギリシャ語の「臭い」という言葉にちなんでオスミウムと名付けられました。耐食性がとても強く、万年筆のペン先などに利用されている金属です。単独で使用されることはほぼなく、合金として使われています。
イリジウムは青色の金属で、耐食性に優れています。イギリスのスミソン・テナントによってオスミウムとともに発見された金属。実験の際、発見した元素の化合物の色が鮮やかに変化したことから、ギリシャ神話の虹の女神である「Iris」にちなんで、イリジウムという名前が付けられました。オスミウムと同じく単独での使用は困難。プラチナなど、他の金属の強度を増すために、合金として使われることがほとんどです。イリジウムとオスミウムの合金は、耐食性・耐久性に優れ、万年筆のペン先やエンジンの点火プラグにも使用されています。
これまで解説してきた貴金属は比較的比重が重く軟らかいため、ジュエリーとして着用しやすいように他の金属(割金)を混ぜて合金にしたものが使用されています。軽量化、硬化、加工のしやすさ、色の改良・改変などを目的とし、貴金属の素材によって使われる割金の種類は異なります。これらの合金で貴金属の純度品位を表す単位には2種類あります。
金の含有率を24分率で示すもの。例えば24Kであれば純金、18Kなら75%の金を含有した金合金となります。また、ダイヤモンドなど宝石の質量を表す単位としても使われます。この場合のカラットは重さの単位。1カラット=0.2gと決められています。
貴金属の量が1000分中どれくらい含まれているかを指します。現在の表示区分では999が最高純度で、例えば「SV999」であれば純銀ということになります。日本では金の割合を「K○○」と表現することが多いですが、海外では1000分率を使うことも多いようです。
貴金属製品の品位証明区分と証明記号 |
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白金(プラチナ)製品 | 金製品 | 銀製品 | 白金(プラチナ)及び金を接合した製品(コンビ製品) | |||||
品位(純度) | 証明記号 | 品位(純度) | 証明記号 | 品位(純度) | 証明記号 | 品位(純度) | 証明記号 | |
金 | 白金(プラチナ) | |||||||
999 | 999 | 999 | 999 | 999 | ||||
950 | 916 | 950 | 750 | 999 | ||||
900 | 750 | 925 | 759 | 950 | ||||
850 | 585 | 900 | 750 | 900 | ||||
416 | 800 | 750 | 850 | |||||
375 | ||||||||
造幣局の記号を示す 品位(純度)が750であることを千分率で示す 白金(プラチナ)を示す |
金は柔らかくそのままでは加工するのが難しいため、他の金属を混ぜて固さを調整しています。金以外の金属で使われるのは、銅や銀、パラジウムなど。配合によって、イエローゴールド、ホワイトゴールドなど色味に変化がでます。他の金属の配合の割合によって、「18金」や「750」という刻印がされます。ごく稀に「18KT」という刻印もありますが、K18や18金と同じ意味です。
金と同様、プラチナも強度を保つために他の金属を混ぜて使用します。ジュエリーで使用される一般的なプラチナの含有率は85%以上で「Pt850」と刻印されます。現在は「Pt」と表すことがほとんどですが、昔は「Pm」という表記がされていたため、古いジュエリーではこのような刻印がある場合もあります。「Pm」のみの表記は、プラチナ純度が「Pt850」相当ということがほとんどです。
「SILVER」という刻印のみの場合は、シルバーの純度が「SIRVER925」~「SILVER950」、「STERLING SILVER」という刻印は、「SILVER925」相当ということを示しています。
「GP」「GEP」「GF」「GR」などの刻印はメッキを使っているということを示しています。これらの刻印がある場合は、鉄などの別の素材に金やプラチナメッキ施しており、純粋な金やプラチナとしての価値はないといえます。
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